な、なんだろう？ちょっと不安だなあ」
と言った直後に、
ああ・・・、でもホンジョウさん？」
と改めて彼に何かを尋ねるようにそう続ける。
は、はい？」
ああ、あの。

ご、ごめんなさい・・・、ちょっと今から１０分だけ、ここでお待ちいただいてもいいかしら？」
はあ、それは全然かまいませんけど」
ごめんなさい。

実はちょっと、ひとりお客さんでどうしても緊急で今、ちょっとだけ電話で話さなきゃいけない方がいまして。
本当にごめんなさい。
時間、大丈夫ですか？」
ああ、ええ。

今日はこの後、真っ直ぐ帰るだけですから」
本当に？
ホンジョウさんだからってわたし、なんか甘えちゃってるみたいで」
ああ、いえ、そ、そんなこと」
じゃあ、ちょっとだけ。
ここで・・・、お待ちください」
と言ってヒカルは彼女の右手をホンジョウの左手の上にそっと添えると、左手に携帯を持ったまま奥のベッドルームへと姿を消した。

相変わらずだ・・・。

そのさりげない彼女の仕草、そのちょっとした所作の中にこの自分をその気にさせる、いわゆる誘惑のバイブレーション？みたいなものが常に潜んでいる。
って、おそらくそれも彼女にしてみれば全て・・・、おそらくは全くの無意識ってことなんだろう。
でもってまあ、そういったさりげない所作や行為なんてモノを無意識で出来るオンナっていうのが、まあ、世の中的にモテるオンナ？ってことになる。
何故ならば、世の大半のオトコどもなんていうのは・・・、ほんのちょっとでも自分に気がある素振りを見せてくれるオンナに一番弱い・・・、って言うかそんなオンナからの思わせぶりがあって初めて自分の感情を奮い立たせられる？オトコなんて所詮そんな弱気でちっぽけな存在に過ぎないのだから。

その後ホンジョウはそこでヒカルを待つ間にちょっと手持ちぶさたになったからか？キョロキョロとそのヒカルのリビング兼カウンセリングルームのインテリアや小物のチェックをし始める。
え～と、これって・・・、ちなみに何風って言うんだったっけか？
白木のフローリングにレンガの感じがちょっと明るい色合いの南欧風？って言うかサンタフェ風？
う～ん、それよりもまあ、いわゆるトレンド系カフェ風と言ったところかなあ？